Grazing Table 1

「GAstroE'du」立命館大学

in Setoda Hiroshima

今回、私達はこのグレージングテーブルを“新しいトレンド”という視点とは違う見方で考えました。

一つはアート・デザインという視点。そして哲学という視点です。

二つの視点で今回の食体験を考えると、今日のこのテーブルがただの食べ物ではなく新しい体験そのものになります。今日はその感覚を是非感じて欲しいと思っています。

この食体験には4つのコンセプトがあります。

(1) コミュニケーション

一つの大きなテーブルに置かれた山盛りの食べ物を会場のみんなで分け合うということです。 時間と共に、テーブルの形態は変化し、みんなで過ごした時間もその変化から感じることができます。美味しい食べ物を一緒に食べるという幸せな気持ちときれいに並べられた食べ物を破壊するという背徳感も共有できるのです。

(2) エコ/サスティナブル

皿やカトラリーを使わず、サーブすることから水や洗剤の節約ができ、好きな量を食べることができるので食料廃棄の減少にもなるのです。

(3) アート/デザイン

テーブルをキャンバスに、そして食べ物を絵具のように盛り付けます。平面構成やランドスケープデザインのように作り上げていきます。

(4) OLD&NEW

先ほど話したように、グレージングテーブルは新しいトレンドですが、食べ方はいたって原始的です。食べ物を囲み手で食べるのが基本です。手で食べるという行為は、お行儀が悪いですが、子供に帰った気持ちにもなれます。そして、このように沢山の食べ物を囲んで食事をすること(共同飲食)は古代ローマ時代から行われており、日本では神人共食といって供物をみんなで食べることで神と一体化すると言われていました。そして、文化人類学では人間だけが共食すると定義されています。